不完全な人ブログ

フライフィッシングについてだったり日々のつれづれについてだったり

変わりゆく街(ジャカルタ日記)

昨年末から、夫の仕事の都合で家族共々インドネシアジャカルタに移住しています。

そんなある日の日記です(Facebook に投稿した内容と同じです)

私のいま住んでいる街、ジャカルタは東京とほぼ同規模の人口を抱える一方で、地下鉄のような都市交通が今まで全くなかったため、信じられないくらいの渋滞が日常化していました。

(JRも私鉄も地下鉄もなく、全員がバスと自家用車とバイクで通勤する東京を想像してみてください。なお、道は曲がり時々穴が空いており、交差点はろくに機能していません)

日本でもニュースになっていたようですが、そんなジャカルタについに地下鉄(MRT)が開通しました。4月の大統領選に間に合わせるために、まだあちこち工事中で、エレベーターや一部の入り口が使えなかったり、よく見たら地下鉄のトンネルの壁が一部剥がれていたりしますが、まあとにかく、開通しました。

先週が事前登録制で人数制限ありの試乗会、今週は開業という扱いですが、ギリギリまで運賃が決まらなかったこともあってか、なんと無料で乗れます。(要事前登録)

せっかくなので乗ってきました。

まずはアプリで事前登録します。乗りたい日を選択し、名前とメール、電話番号等を入力するだけで登録完了。E-TicketとしてQRコードが表示されます。そのQRコードを駅の改札付近にいる係員に見せ(文字通り見せるだけ。別にQRコードをピッとしたりするわけではない)、フルオープンな改札の中に入ります。

そうそう、このMRT、日本の協力で作られたので、駅のパッケージングや案内が割と日本仕様でどことなく見たことのある風景というか、日本人にとっては慣れ親しんだ雰囲気です。

ちなみに、私が乗り降りした駅はエスカレーターは左側に立つ東京ルールでした。

改札やら駅の階段やらで記念撮影しまくっているジャカルタっ子たちを横目に、階段を登りホームに行くと、まあまあの混雑具合です。しかしホームドアがあり、その前の床に、列に並ぶための表示があってわりあいとみんなその表示に従って並んで?いるので、比較的秩序立っています。電光掲示板には行き先と発車時間。10分おきに走っていて、電車が近づくとTrain arrivingの表示が出ます。

時間通りに電車がやってきて乗り込むと、またジャカルタっ子たちは記念撮影を始めます。通路に立っていた私も2組ほどシャッターを押してあげる羽目になりました。

車内は冷房もよく効いているし、車内表示も放送もわかりやすいしで至って快適でした。ただ、車内放送は、日本の鉄道会社がトレーニングしたためか、いわゆる「日本の車掌さんアナウンス」になっており、特に駅名の読み方はまさに車掌さん読みでした。

cipete rayaという駅があるんですが、「Next station is, ちぷて〜らやっ、ちぷて〜らやっ」とか放送するもんだから、目の前に座っていた奥様方は爆笑し、車内からは「え?どこって?Cipete raya?!」「ちぷて〜らやっ♪ちぷて〜らやっ♪」などと困惑したり、真似したりする声が上がっておりました。

始発駅のLebak bulus駅〜ASEAN駅(そう、ASEANの本部があります)までが地上区間、そこから先が地下鉄区間になります。地上区間は高架になっており、ジャカルタの街中がよく見えます。ビルとごちゃごちゃした街並みの合間にモスクが点在しているのを眺めていると、15分ほどで地下鉄区間へ。

今回は終点まで乗らず、オフィスの最寄駅であるBendungan Hilir駅で降りました。朝の通勤ラッシュ時は車で1時間半以上かかる道のりですが、今回は20分強で着きました。素晴らしい。

一旦、駅の外に出て、出口やオフィスまで行く道を確認してまた折り返して帰路につきました。

帰りは地下鉄区間から地上に出た時に、自然と拍手と歓声が上がったのが微笑ましかったです。

運賃を徴収しての営業運転は4月1日から始まります。まだまだ課題も多く、例えば自宅と駅の間の道がめっちゃ渋滞するとか、駅付近に駐車場駐輪場がないので誰かに送り迎えしてもらうかバス(渋滞付き)で駅まで行く必要があるとか、つい2日ほど前に運賃決まったばかりなのに券売機や自動改札のシステムちゃんと動くのかとか、気になるところも多いです。あ、あと明日明後日は無料期間最後の土日で、めっちゃ混雑が予想されるのですが、ちゃんとオペレーション的にさばききれるのかなという直近の心配もなきにしもあらずです。

しかし、慢性的な渋滞に悩まされるこの街で定時運行する電車のありがたさ、そして何より、地元の人たちがウキウキワクワクしている様子に、これから変わりゆくジャカルタの街を、一緒に体験できるのだと私も嬉しくなったのでした。