不完全な人ブログ

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インドネシア大統領選にまつわる騒動(ジャカルタ日記)

気が付くと放置してしまうBlog。一応インドネシアに引っ越しして8か月経ちましたが私も家族もぼちぼちなじんで毎日何とか過ごしております。

以下の記事は今年の6月ごろに社内向けに書いた文章をそのまま転載しております。ですので、ニュース記事などのリンク切れがあるかと思いますが、ご容赦を。

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今年の4月に日本の全面的なサポート開業した、ジャカルタのMRT(地下鉄)についてのお気楽なレポートを書こうと思っていたのですが、先々週発表された大統領選の結果について大規模なデモ、というか暴動が発生してしまったので、こちらについて書いてみたいと思います。

とはいえ、在住5か月では詳細な分析もできませんのでニュース記事+コメント、という形式でお伝えしたいと思います。

 

インドネシアの大統領選】

2019年4月17日にインドネシア大統領選挙が行われました。候補は現職大統領でジョコ・ウィドド(愛称はジョコウィ)氏と、対抗の野党党首のプラボウォ氏の対決となりました。

「寛容なイスラム大国」の行方 インドネシア大統領選

ジョコウィ氏は実業家出身で庶民派といわれ、一方でプラボウォ氏は陸軍出身のエリートです。

インドネシアの大統領選挙は直接選挙制で、どちらの候補が良いか全有権者が直接選んで投票します。

【当日の様子】

投票の1か月くらい前?に、選挙日が祝日になることが決まりました。(インドネシアあるある:祝日が突然決まる)

飲食店などもすべて午前中はお店を閉めて、みんな投票に行きます。投票権もなく仕事も学校も休みになってしまった上に、大使館からあまり出歩くなとの案内が出たため、日本人たちはとりあえずプールに浸かったりしていました。

投票をすると、二重投票防止のため2、3日消えないインクを小指につけるので、投票に行ったかどうかがまるわかり。InstagramTwitterなどでインフルエンサーたちが小指に紫のインクを付けた写真をアップしています。

この小指を見せるとスターバックスやクリスピークリームドーナツやKFCやいろんなお店がXX%OFF!とかお得になるプロモーションがたくさん出ていて、お祭り騒ぎの一日でした。

【投開票】

投票当日~翌日にクイックカウントといって大手新聞社等による選挙結果速報が発表されました。

ただ、これはあくまでも速報値なので、正式な開票作業はそこから1か月以上かけて行われました。

インドネシア大統領選、現職ジョコ氏が優勢

なお、大手5社のクイックカウントの結果は現職ジョコウィ氏の勝利、でしたが、対抗のプラボウォ氏は自身の独自の機関によるクイックカウントの結果をもって、勝利宣言をしたりしていました。このあたりからちょっと風向きが怪しくなってきます。

徹夜の開票作業で412人死亡…過労・熱中症か

そんな中で開票作業を行っていた方が多数亡くなったとのニュースが日本でも流れました。

何か裏で陰謀が?と思われた方もいたかと思いますが、インドネシア人口の2億6千万人。有権者数は1億9千万人ともいわれ、投票率は80%以上、インドネシア国内に開設された投票所は80万箇所以上に及び、さらに今回実は総選挙ということで大統領選だけでなく、地方議会議員選挙など合わせて4~5つの投票が同時に行われていたのです。

そんな大量の開票作業を、気温は連日30度前後、開票作業の多くは半屋外とか屋内でもクーラーのないようなところで作業をしていたそうなので、ほとんどのケースは過労や熱中症が原因だろう、といわれています。

【抗議活動から暴動へ】

5月22日に大統領選挙の結果が発表されました。もともとクイックカウントの結果を受け入れられない、不正投票だ、と主張していたプラボウォ氏側は、支持者を動員してのデモ活動を行います。実は、当局に届けられた抗議デモ自体は予定通り一応平穏に終了したようです。その後、デモ隊とは別部隊と思われる一団が暴動を始めた、といわれています。

インドネシア大統領選挙 落選候補側の抗議活動 6人死亡

残念ながら、最終的には8人の犠牲者がでてしまいました。

インドネシア大統領選挙の抗議活動 日系企業など自宅待機も

SAPインドネシアオフィスやジャカルタにある日本人学校、幼稚園も1、2日間自宅待機になりました。日本企業が多く集まるスナヤン地区では特に交通規制等もなかったため出社した日本企業もあったようですが、窓から警察のヘリコプターがデモ隊に水をかけている様子などが見えたそうです。ちなみに私の住んでいる南ジャカルタは平穏でしたが、念のため2日間自宅から一歩も出ずに過ごしました。

プラボウォ派 暴徒動員 機動隊と衝突、宿舎襲撃 車25台放火、257人逮捕 中央ジャカルタ

こちらは現地の日本語新聞の報道です。実際に記者の方々がデモの現場に行っていたようで、かなり生々しいレポートも含まれています。

大統領選後の暴動でインドネシア政府がインスタなどFacebook系SNSをブロック

インドネシアではSNSでの選挙活動は特に禁止されていません。選挙戦の間から投開票後にかけて、真偽入り交ざった様々なニュースが流れてきて、それがより新たな火種になりうる、との判断なのかSNSが断続的にブロックされました。

私は特にSNSが見えなくなる、ということはなかったのですが、LineやSNSへの画像投稿は一時的に制限されていました。(見る分には特に問題なし。またWifiVPNにつなげば特に制限なく見ることができました)

 

2019年インドネシア大統領選挙で何がおきたか――分断と凝集の政治ベクトル

この記事は暴動が起きる”前“に書かれたものです。実際には想定よりは大きな暴動となってしまったわけですが、今のところ大筋ではこの記事の分析通りに進んでいる、と思います。

 

【現在の状態】

大統領選敗北のプラボウォ氏、憲法裁判所に提訴

プラボウォ氏が人員を動員しての抗議活動ではなく、本来の手続きである憲法裁判所に選挙結果の不服を申し立てる方針に切り替えたので、一旦は騒動は落ち着いています。

また、5月の頭から続いていた断食月がもうすぐ終わり、断食明け大祭(レバラン)の長期休暇が始まります。レバラン前のボーナスも配られて、みんな旅行や自分の故郷に帰って行って、ジャカルタ市内はお盆休みの都心のように人がまばらになり、すっかり平穏な雰囲気に戻りました。

また、6月下旬の憲法裁判所の判断が出るころに何か一波乱あるかもしれませんが、とりあえず落ち着きましたよ、というご報告でした。