不完全な人ブログ

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「鹿の王」を読みました

2年以上放置していたBlogですが、久しぶりに記事を書こうと思いたってキーボードの前に向かっております。本を読んだ、という記事ですが、ブックレビューではありません。日記です。

 

ようやく、上橋菜穂子さんの「鹿の王」を読みました。

精霊の守り人」も「獣の奏者」も好きで、2014年に鹿の王が発売されたときも、ぜひ読みたい、と思っていました。ただ、当時は長男も幼く、最初の育休からの復帰前後の頃で、とてもじゃないが落ち着いて本を読む余裕がない、と見送っていたのでした。そうこうしているうちに、日々の生活と仕事に追われ、次男の妊娠出産(そうなんです、次男が2016年に生まれました)のため、本屋で見かけては、今はまだ、読む余裕がない、と躊躇していました。

その間、全く本を読んでいなかったわけではないんです。漫画なんかは割と読んでいましたし、同じくらい大好きな作品である「十二国記」の新装版は購入し、何度か読み返していました。ですが、「好きな作家さん」の「新作」を「ハードカバー」で本腰を入れて読む気にはなれなかったのです。

伝わりますでしょうか。これらの条件の本を読むには、相応の心と体の余裕を持って、万全の態勢で臨みたい、という気持ちがあったのです。逆に言えば、その気持ちが、今までこの本を手に取ることを拒んでいました。

ですが、今回、文庫本が発売され、次男も1歳半近くなり、育休からの復帰後のバタバタからようやく落ち着いてきたことにより、ようやく手に取ることができたのです。

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本屋で上橋さんのサインを見つけて思わず写真を撮ってしまいました。上にある著者サイン本も、購入出来そうな感じだったんですが、なんだか恐れ多くて(?)、下に並んでいる通常版を買ってしまいました。若干後悔しています。

そうして、ようやく手に入れた文庫本ですが、それでもすぐに読むことはできず、お盆休みの夜、2日に分けて、子どもたちを寝かしつけて、好きな飲み物と食べ物を傍らに用意して、それから読み進めました。

ハードカバーの時は上下巻でしたが、文庫本は全四巻で発売されました。しばらく読み進めて、ああ確かにこれは上下巻の方がしっくりくる構成だったのだな、と気づかされました。出来ればハードカバーで読みたかったな、という思いがちらりとよぎりましたが、それは仕方ありません。例え子供が途中で夜泣きしても、気軽に中断できる、軽い文庫本はやはり私の生活スタイルに合っているからです。

それでも、第一巻は物語の舞台に、読者である私自身を馴染ませるだけに終始してしまったので、そのまま初日は第二巻まで読んで、翌日に第三巻と第四巻を読む、という疑似上下巻体験を行いました。個人的には、文庫本を読まれる方は、上下巻のつもりで読むことをおすすめしたいです。

そうして、先ほど第四巻まで読み終えたところです。大変に、素晴らしかったです。「精霊の守り人」で描かれているものと、「獣の奏者」で描かれているものを両方下敷きにして、さらなる高みへと進んでいるお話でした。人と人との関わりで独特の湿度を感じる筆致も好きですし、最後手前の、彼らを見送るシーンは、本当に秀逸でした。

なんとなく、なのですが、文庫本第四巻の表紙絵は、物語の中の一幕ではなく、彼らのその後だったりするのかな、と思いました。森の中で、一緒に暮らして、狩りをしている様子だったらいいなあ、なんて思ったり。

 

鹿の王 1 (角川文庫)

鹿の王 1 (角川文庫)

 

 

 

鹿の王 2 (角川文庫)

鹿の王 2 (角川文庫)

 

 

 

鹿の王 3 (角川文庫)

鹿の王 3 (角川文庫)

 

 

 

鹿の王 4 (角川文庫)

鹿の王 4 (角川文庫)

 

 

さて、ここまで長々書いてきましたが、2年ぶりのブログを書くに至るほどの衝撃をあ与えてくれた、この本と上橋先生には本当に感謝したいです。

逆に言うと、ここしばらく子育てに心の大部分を割いていて、私自身、自分のためだけに心が動くようなことをしていなかったな、という反省もあります。長男次男の母である、ということは自分にとってはとても大切なことですが、母ではない部分の自分、というものも、忘れずに大切にしていきたい、ということを思い出させてくれた、読書体験でした。